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作家・山田風太郎氏のファンのブログ

『風太郎不戦日記』 第14話

巻頭の写真カラー化企画、素晴らしいですね! 白黒だと「歴史」、色が付くと「過去」、と印象が少し違って感じて、被写体の感情がより強く伝わるような気がしてきますね。
最終回と一緒に掲載予定の天竜峡での記念写真カラー版がすっっっごい楽しみです!!
あと、写真館外観が写真と漫画とで寸分違わなかったことに仰天しました。勝田先生の画力は異次元…!!(震)
『風太郎不戦日記』 第14話。

「新しい日本」っていう、一見すると希望に満ちた清新なイメージがするタイトルなのに、内容は暗くて重くてこれでもかと虚しさを強調してくるのが……「日本に訪れし平和は、剣にて刺されたる屍の静寂」ってのがキッツイ……(泣)。
14話は、笑えるシーンは「フルーツパーラーは?」の小さいツッコミくらいで、あとは全部ひたすら暗い。重い。誠也青年個人も、日本という国全体も。

今回、“あえて描かない”という手法で表現している箇所が多いなぁと思いました。
バスの中で延々と愚痴る女性の目元に影をおとして、わざと表情を分かりづらくして簡素に描いてる。信念の無さ、流されやすさ、恨み言だけはいっちょまえのくせに絶望的な覇気の無さ──それらをひっくるめた無個性なキャラデザで「民衆の代表的声」をしゃべらせてる。そして、その彼女を内心で侮蔑してる誠也の冷たい目は、でも彼女を真正面からは見られないんですよね(だから、台詞ははっきり聞きとれても表情はよく分からない)。心底情けないのと同時に、それが日本人という人種の本来の姿だと思うし、自分だってその愚衆の一人でしかないから。

梨本宮の新聞記事を読むシーンも。
御言葉は黒いコマに白抜き文字のみで、読後感想は「…はあ?」のたった一言。当日の心理ショックの大きさ&複雑さをあえて簡潔にして、ワンクッションおいた次の日に心情吐露させる(しかも請願の署名エピソードとからめて)テクニック。
新宿東宝のシーンも。
8月15日の真っ赤だった向日葵を真っ黒く塗りつぶして、ボロボロでゴミだらけだった映画館の中を空虚に真っ白にする表現力。
極めつけは、東京駅の電車のシーン。
物乞いをする少年の台詞がほぼ完全に原作通りで、涙が止まらなくなりました。台詞は最初から最後まで再現されていながら、「姿を見る勇気がない」誠也青年の目線の通りに一度も顔を描かれない少年。子供の悲惨な姿は文章でも漫画でもキツすぎるわ……。(そういえば、「御冗談でしょう」の返しがカットされてました。この開き直った口調の中に、可哀そうな子供を無視し続けなきゃいけないやるせなさや罪悪感がこもってるようで印象深い一言だったのですが)

淡々としてちょっととぼけたタッチの絵柄で、深い心情描写がこめられたコマ割りや構図で描かれる『風太郎不戦日記』。山風の日記の漫画化として奇跡のようなこの傑作が次で終わるなんて!! 世の中間違ってるレベルにしんどい!! 度し難い!!!(号泣)
結構本気で、連載終了後は抜け殻状態になる気がする……。
最終回は7月8日発売号に掲載予定とのこと……。

『忍者月影抄』は6月発売

来月発売の河出文庫新刊『忍者月影抄』、カバー絵が出てますね~♪ 美麗っ♪

河出文庫『忍者月影抄』

これまたむちゃくちゃオシャレでセンスの良い表紙ですな!! すんごいカッコイイ!! ……ど真ん中でバーンと棚ざらえされちゃってる御側妾さんが可哀そうではありますけど(笑)。
今回の「傑作選」も前回の「忍法帖シリーズ」も、河出さんの文庫は表紙絵&デザインを全力で美しく仕上げて下さるから感動ものですね。ホント眼福♪

そんでもって。
河出版は来月の『月影抄』で、いよいよ前回の「山田風太郎忍法帖シリーズ」3冊の再刊となるわけですが。

この後も、他の長編忍法帖の復刊を続けてもらえると思っていいのでしょうか?

「シリーズ全3冊で完結!」の悪夢再び、は無いですよね……信じていいんですよね……?
…………やばい、緊張しすぎて吐きそうになってきた(ガラスメンタル)
『信玄忍法帖』の解説で日下さんが「こっから先も忍法帖ガンガン復刊する予定だよー!(※意訳)」て書いてくれてるから、だ、大丈夫だよね……??

あと2話……

『風太郎不戦日記』は6月に掲載される分が最終回らしいんですって!! ってことは、読めるのはあと2話のみ!!

あああぁぁぁマジかーーー!!! ついにこの時が来てしまったのねええぇぇ!!!(号泣)
そりゃね、最初から「一年限定連載」の漫画化だったのは知ってたさ!! 知ってたけども!! でももう誠也への愛は私の人生の確かな一部!!(誠也に依存し過ぎ)
あとたったの2回しか誠也に会えないなんて信じられない……生きる上での愉しみの大きな一つが消失する……。再来月、最終話を読んでしまった後の私はどうなっているのだろう。正気を保てているだろうか。(なんせ誠也に依存し過ぎ)
しかも最終回の舞台、故郷の但馬ですってよ……そんなのもう、嗚咽しまくって二時間は泣きじゃくるの確定じゃん!!
単行本第3巻は7月発売だそうです。


山風作品の漫画がリアタイ連載されてる日常、という幸せに浸かってきたんで『不戦日記』終了後は本気で打ちひしがれて絶望してそうです。
ホント、近いうちにせがわまさき先生の新たな忍法帖漫画化、実現してくれないかなぁ。んで、タイトルはさぁ──
 ・『ケルベロス -忍法八犬伝-』
 ・『八 -忍法 淫戯乱盗狂惑悦弄-』
──のどっちかで。 作品限定し過ぎだし二番煎じ感あり過ぎだし。